
こんにちは、いなかつです。
前回までは、専門商品でも売れる3ステップ法の概要について学びました。
今回は、そのステップ3「究極のベネフィットを考える」に焦点を当て、深掘りしていきましょう。
なぜほとんどのコピーは失敗するのか
セールスコピーの90%以上が、実は同じ過ちを犯しています。それは…
「メリット」と「ベネフィット」を混同している

メリットとベネフィットの決定的な違い
まずは、この2つの決定的な違いを理解しましょう:
メリット:商品やサービスが持つ特徴や性能、技術的優位性
ベネフィット:その商品を使うことでお客さんが得られる結果や変化
例えば、ゴルフドライバーの場合:
メリット | ベネフィット |
---|---|
新素材使用 | 飛距離が伸びる |
これまでにない機能 | まっすぐ飛ぶ |
有名プロも使用 | スコアアップ |
軽い、握りやすい | コンペで勝てる |
壊れにくい | 周りから注目される |
打った瞬間、笑いが止まらない |
違いがわかりますか?メリットは「商品の特徴」ですが、ベネフィットは「お客さんの体験」なのです。
お客さんはベネフィットにお金を払う
重要なポイントは、お客さんは「商品そのもの」にお金を払うのではないということです。
彼らが本当にお金を払うのは、「その商品から得られるベネフィット」なのです。
ハーバード・ビジネス・スクールの有名な言葉を借りれば:
「人々は4分の1インチのドリルが欲しいのではなく、4分の1インチの穴が欲しいのだ」
さらに言えば、実は「穴」すら欲しいわけではありません。彼らが本当に欲しいのは、「穴を開けることで得られる結果」なのです。
- 棚を取り付けて部屋をきれいに整理したい
- DIYで家族に自慢したい
- お金を節約して達成感を味わいたい
究極のベネフィットを見つける3つのレベル
ベネフィットには、実は3つのレベルがあります:
レベル1:機能的ベネフィット
商品の機能から直接得られる結果 例:「この防寒着で寒さから守られる」
レベル2:実用的ベネフィット
その結果がもたらす実生活での変化 例:「底冷えする現場でも快適に仕事ができる」
レベル3:究極のベネフィット(感情的ベネフィット)
その変化がもたらす感情的な満足や達成
例:「厳しい環境でも最高のパフォーマンスを発揮できる自信に満ちたプロフェッショナルになれる」
ほとんどの企業はレベル1、多くてもレベル2までしか伝えていません。しかし、人の心を本当に動かすのはレベル3の「究極のベネフィット」なのです。

究極のベネフィットを見つける質問法
では、どうすれば究極のベネフィットを見つけられるのでしょうか?以下の「なぜなぜ分析」を使ってみましょう。
高額塗料の例で考えてみます:
機能的ベネフィット:「耐久性が25年ある塗料を使える」
なぜそれが重要なのか?→「長期間、再塗装の必要がなく、顧客に安心を提供できる」
なぜそれが重要なのか?→「顧客満足度が高まり、口コミで評判が広がる」
なぜそれが重要なのか?→「価格競争に巻き込まれず、安定した高単価受注ができる」
なぜそれが重要なのか?→「経営が安定し、将来への不安なく事業を続けられる」
なぜそれが重要なのか?→「プロとしての誇りを持ち、家族にも安心を提供できる」
究極のベネフィット:「プロとしての誇りを持ち、家族にも安心を提供できる塗装会社になれる」
究極のベネフィットを見つける5つのアプローチ
究極のベネフィットを見つけるためのアプローチは他にもあります。以下の5つの観点から考えてみましょう:
1. 自己実現的ベネフィット
顧客が「なりたい自分」に関連するベネフィット
例:「この髪型で、もっと自信に満ちた自分になれる」
2. 社会的ベネフィット
他者からの承認や評価に関連するベネフィット
例:「このスーツで、一目置かれるビジネスパーソンになれる」
3. 安心・安全のベネフィット
リスク回避や不安解消に関連するベネフィット
例:「このセキュリティシステムで、留守中も家族の安全を守れる」
4. 快楽的ベネフィット
楽しさや快適さに関連するベネフィット
例:「このマットレスで、朝までぐっすり眠れる贅沢な時間を得られる」
5. 経済的ベネフィット
お金の節約や収入増加に関連するベネフィット
例:「この投資法で、老後の不安なく豊かな生活を送れる」
事例から学ぶ究極のベネフィット
具体的な事例を見てみましょう。以下は、様々な業種での「メリット」と「究極のベネフィット」の例です。
例1:会計ソフトウェア
メリット:AIによる自動仕訳機能
機能的ベネフィット:入力の手間が省ける
究極のベネフィット:「経理の悩みから解放され、本業に集中できる経営者になれる」
例2:オンライン英会話
メリット:ネイティブ講師とのマンツーマンレッスン
機能的ベネフィット:効率よく英語が学べる
究極のベネフィット:「どんな国際的な場面でも堂々と自己表現できる自分になれる」
例3:住宅リフォーム
メリット:断熱性能の向上
機能的ベネフィット:冬暖かく、夏涼しい家になる
究極のベネフィット:「家族全員が『帰りたい』と思う、あなただけの特別な空間を創り出せる」
*画像:各事例のメリットからベネフィットへの変換を示す矢印図
究極のベネフィットを魅力的に伝える言葉選び
究極のベネフィットを見つけたら、次はそれを魅力的に伝える言葉選びが重要です。
1. 具体的な数字を使う
「売上アップ」→「3ヶ月で売上30%アップ」
2. 感覚的な言葉を使う
「痛みが軽減」→「朝起きたときの痛みがウソのように消える」
3. ストーリーテリングを取り入れる
「効果があります」→「70歳の母が使い始めて1ヶ月、階段を駆け上がれるようになりました」
4. 対比を使う
「便利です」→「今までの3時間の作業がたった15分で完了」
5. 未来をイメージさせる
「肌が改善」→「鏡を見るたびに『若返った!』と感じる朝が訪れる」
実践ワークショップ:あなたの商品の究極のベネフィットを見つける
それでは、あなた自身の商品やサービスの究極のベネフィットを見つけるワークショップを行いましょう。
ステップ1:自分の商品・サービスのメリットを5つ挙げる
技術的な特徴や機能を書き出します。
ステップ2:それぞれのメリットから得られる機能的ベネフィットを考える
そのメリットによって顧客が直接得られる結果は何でしょうか?
ステップ3:「なぜそれが重要か」を5回繰り返す
最も感情に訴えかける究極のベネフィットに辿り着くまで、「なぜ」を繰り返します。
ステップ4:5つのベネフィットタイプから検証する
自己実現的、社会的、安心・安全、快楽的、経済的の5つの観点から、さらに究極のベネフィットを広げましょう。
ステップ5:魅力的な言葉で表現する
見つけた究極のベネフィットを、魅力的で具体的な言葉で表現します。
究極のベネフィットを活用した成功事例
事例:医療クリニックの予約数3倍増
ある医療クリニックは、「最新の設備と熟練の医師による診察」というメリットを前面に押し出していました。しかし、新規患者の獲得に苦戦していました。
そこで、「なぜなぜ分析」を行い、究極のベネフィットを探りました:
メリット:最新の設備と熟練の医師
機能的ベネフィット:正確な診断と適切な治療
究極のベネフィット:「健康の不安から解放され、大切な人との時間を心から楽しめる人生を取り戻せる」
この究極のベネフィットを前面に押し出したコピーに変更したところ、新規予約数が3倍に増加したそうです。
よくある間違いと回避法
究極のベネフィットを考える際によくある間違いと、その回避法をご紹介します。
間違い1:自社視点に陥る
「業界No.1」「20年の実績」などの自社視点のメリットに終始してしまう。
回避法:常に「それによってお客さんはどうなれるのか?」と問い続ける。
間違い2:機能的ベネフィットで止まる
「時間が節約できる」「コストが下がる」などの機能的ベネフィットで止まってしまう。
回避法:「なぜそれが重要なのか?」を最低5回繰り返す。
間違い3:抽象的すぎる
「人生が変わる」「成功できる」など、漠然としたベネフィットになってしまう。
回避法:具体的な状況や数字、感覚的な表現を盛り込む。
まとめ:究極のベネフィットで売上を倍増させる
- お客さんは「メリット」ではなく「ベネフィット」にお金を払う
- 真の力を持つのは感情に訴えかける「究極のベネフィット」
- 「なぜなぜ分析」で機能的ベネフィットから究極のベネフィットへ掘り下げる
- 5つのベネフィットタイプ(自己実現的、社会的、安心・安全、快楽的、経済的)を検討する
- 魅力的な言葉選びで究極のベネフィットを効果的に伝える
- どんな専門商品や高額商品でも、究極のベネフィットを見つければ売れる
商品の本質的な価値は、それがもたらす「変化」や「体験」にあります。
あなたの商品が顧客にもたらす究極のベネフィットを見つけ、それを効果的に伝えることができれば、どんな商品でも売れるようになります。
ではまた。
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